【藤原和博】2020年教育改革!今こそ読むべき本はコレ!【アクティブラーニング】

オススメの本

たった一度の人生を変える勉強をしよう (朝日新聞出版) [電子書籍]「たった一度の人生を変える勉強をしよう」

著者は藤原和博さん

 

 

「勉強」という言葉をきいたとき、どんな映像が思い浮かびますか?
ほとんどの方は机に向かって参考書を読んだり、問題集を解いている姿を思い浮かべるのではないでしょうか?

勉強は、机に向かってガリガリひとりでこなすもの。
問題は、だれの助けも借りずひとりで解いていくもの。
そんなイメージが強いんじゃないかと思います。

しかし社会に出てからは、ひとりでやる仕事なんてひとつもありません。
上司や同僚はもちろん、取引先や関係者など、いろんな人の協力や合意があって仕事は成立しています。
すべての仕事は「協業」です。

ほとんどの人が経験したことのない、人生を変える勉強をしよう!
というのが本書の内容です。

 

「たった一度の人生を変える勉強をしよう」が書かれたのは2015年。
このときは、本書の内容はほとんどの人にとって経験のない勉強だったと思います。

しかし2020年、10年ぶりの教育改革により、この本の内容は教育のスタンダードになっていきます。

2020年教育改革とは何か?イチから知りたい方はこちらのサイトをどうぞ。
非常にわかりやすくまとめてくださっています。
【総まとめ】2020年教育改革とは?|イチから知りたい方必見!

 

本書はまさに、アクティブラーニングについて書かれたもの。
「自分たちの時代には無かった、アクティブラーニングってどんな内容なんだろう?」
そう気になったお父さん、お母さんには今こそ読んでいただきたいオススメの本です。

そこで私なりに、できるだけわかりやすく本書の内容を要約しました。
最後まで読んでいただけると幸いです。

 

ポイントまとめ

本書の内容のポイントをまとめると次の通りです。

◆「いままで」と「いま・これから」との比較

 

◆納得解を導き出すための4つのステップ

 

◆情報編集力を身につけるために重要な5つの能力

それでは詳しく解説していきます。

 

 

もう勉強だけでは役に立たない

勉強という字は「勉めて強いる」と書きます。

つまり勉強とは「むりやり押しつけられた”正解”に向かって努力させられること」なんです。

だから勉強がおもしろくないのは当たり前のことなのですが、従来の勉強をこなしているだけでは、通用しない世の中になってしまいました。

 

勉強がもてはやされた「成長社会」

そもそもなぜ大人が勉強を押しつけるのか?というと、時代背景による理由があります。

高度成長期の日本は、国の経済がグングン伸びて、去年よりも今年が、今年よりも来年が豊かになる、絵に描いたような「成長社会」でした。

成長社会での企業にとって、絶対的な”正解”は「もっとたくさん」「もっと安く」「もっと均等に」というルール。
そして求められる人材は、「読み書きソロバン」の基礎がしっかりできて、まじめに働いてくれる人。

正解ありきの勉強がもてはやされたのには、こんな時代背景がありました。

 

成長社会にあった”正解”が存在しない時代

ところが今はこれが全く通用しなくなっています。

企業がひとつのモノをたくさんつくっても、在庫があふれ赤字を生むだけです。
みんなが同じモノやサービスで満足していた時代は終わりました。
モノを安く提供しても、中国製や韓国製の安さにはかないません。

じゃあどうすればいいのか?
それは誰にもわからないんです。

ひとつだけわかっているのは、もはや「成長社会」にあったような”正解”は存在しないということ。

これからの時代は、自分の手で”あたらしい答え”を探していかなければなりません。

 

私たちが生きる「成熟社会」

日本が戦後の焼け野原から立ち上がろうとしていたとき、人々の心を占めていたのは「たらふくメシが食いたい」「暖かい服がほしい」「まともな家に住みたい」という、衣食住についての欲求でした。

衣食住が満たされると、今度は「テレビがほしい」「冷蔵庫がほしい」「エアコンがほしい」という、生活や文化に関する欲求が芽生えてきます。

そしてモノの豊かさもある程度満たされたいま、今度は何がほしくなるのでしょう?

いまさらテレビがあと1センチ薄くなっても、幸せには結びつきません。
モノでは満たされなくなった幸せを、今度は「心の豊かさ」に求めるようになりました。

モノの豊かさを求めるのが「成長社会」。
それに対して心の豊かさを求めるのが「成熟社会」です。

 

成長社会では正解ありきの勉強が確かに重要であった。
しかし今の成熟社会には正解がない。
これからの時代は、自分の手で”あたらしい答え”を探していかなければならない。

 

 

正解がない時代を生き抜くための「情報編集力」

ここで問題になるのが、ルールが変わればプレイスタイルも変わるということ。

同じ陸上競技でも、100メートル走とマラソンとでは求められる能力がまったく違います。
マラソンの時代になったのに、スタートダッシュばかり練習していても意味がありません。
長距離には長距離用の練習メニューがあるはずです。

勉強についても同じことがいえます。

従来型の勉強は、あくまで正解ありきでつくられた、成長社会に必要な力を身につけるプログラム。
これからの成熟社会では、正解ありきの勉強に加えて「正解がない時代」を生き抜くための、あたらしい力を身につけなくてはいけません。

 

成長社会に求められていた「情報処理力」

成長社会の時代に求められていたのは、1秒でも早く”正解”にたどり着くための「情報処理力」でした。
たとえるならこれは、ジグソーパズルを完成させるときの力です。

パズルのパッケージには「完成したらこうなるよ」という絵が描かれています。
ピースの形状や模様を頼りに、それぞれ適切な場所に配置していく。
どのピースがどの位置に埋まるかはあらかじめ決められているし、ひとつでも場所を間違えたらパズルは完成しない。

ジグソーパズルのように、与えられた情報を素早く正確に処理していく能力、これがすなわち「情報処理力」です。

 

成熟社会で求められる「情報編集力」

一方、成熟社会には”正解”がありません。

ジグソーパズルのような「完成したらこうなるよ」という答えがないまま、課題に取り組まなくてはいけない。
たとえるならばレゴブロックを組み立てるような力が必要です。

同じ犬をつくるとしても、レゴブロックで100人の人が犬をつくったら、100通りの犬ができあがります。

誰かがつくった”正解”にたどりつくのではなく、手を使い、足を使い、頭をフル回転させて、自分だけの答えを生み出す力。
持っている技術、知識、経験のすべてを組み合わせてつなげ、編集していく力。

成熟社会ではこのような「情報編集力」が求められます。

 

成長社会で求められていた能力はパズル型の情報処理力。
成熟社会で求められる能力はレゴ型の情報編集力。

 

 

正解の代わりに導き出す納得解とは

レゴ型の情報編集力を身につける勉強には”正解”がありません。

”正解”の代わりにあるのは、みんなが自分で導き出した「納得解」。

納得解とはなにか?
それは自分が納得でき、なおかつ周りの他人を納得させられる解のことです。

客観的に正しい解は存在しません。
だったら、せめて自分が心から納得できる解を導き出そう。
そしてできれば、周りの人にも納得してもらおうということ。

しかし、ただ「なんとなくそう思う答え」では周りの人に納得してもらうことはできません。
「これが正しい」と結論づけるためには、それなりのステップを踏む必要があります。

 

納得解を導き出すための4つのステップ

①まず最初は「観察」
しっかり眺めて、考えたり判断するのに必要な材料を集めること。

②続いて「仮説」
自分が集めた材料をもとに、「こうじゃないかな?」という仮の答えを立ててみること。

③次にやるのが「検証」
自分の立てた仮説について、あえて批判的な眼で、穴がないかどうかをチェックすること。

④そして最後に「証明」。
根拠を提示して自分なりの”解”をみんなに納得してもらうこと。

 

納得解とは、自分が納得でき、なおかつ周りの他人を納得させられる解のこと。
納得解を導き出すには次4つのステップを踏む。
①観察→②仮説→③検証→④証明

 

 

情報編集力を身につけるために重要な5つの能力

納得解を導き出すための4つのステップで、必要となる能力は次の5つです。

ひとつずつ掘り下げていきます。

 

シミュレーション能力

自分が知っていることについてはいろいろ考えられますが、知らないことについてはほとんど考えることができません。
考えるための材料がないからです。

何かを考えるためには、必ず「知る」というステップ、知らなければ「調べる」という作業が必要になります。

まずは知ること、調べること。
「考える」はすべてそかから始まります。

そして集めた材料を、じっくり眺めて、手に取って、見比べる。
頭の中で右に左に転がしながら、組み合わせを考える。

「こうすれば問題が解決するぞ」、「この組み合わせならうまくいくんじゃないか」という自分だけの仮説を導き出す。

この観察から始まる仮説成立までの作業をシミュレーションと呼びます。

 

シミュレーション能力とは、材料を集め、手足や頭、五感を使って組み合わせを考える能力

 

 

コミュニケーション能力

テスト中に解き方を教えてもらったり、意見をきいたりしたら「カンニングするな!」と怒られます。
授業中だって私語は厳禁です。

そのせいもあるのか、「問題はひとりで解かなきゃいけない」という思い込みがあるのかもしれません。

しかし現実の社会では、ひとりでできることなんて何もありません。

もちろん答えだけを盗むようなカンニングはよくないのですが、誰かに相談すること、意見を交わすことは、とても大事なプロセスです。

企業が学生を採用するとき、最も重要視するのが「コミュニケーション能力」。
どうして企業は若者にコミュニケーション能力を求めるのでしょうか。

それは、よのなかから正解がなくなっているからです。
素早く正解をはじき出す「情報処理力」よりも、自分なりの納得解を導き出す「情報編集力」が求められています。

そして納得解は、他者とのコミュニケーションのなかで磨かれていくもの。
聞く力も、答える力も必要。
加えて周りの意見を取り込みながら、自分の”解”を軌道修正していく柔軟性も大事になります。

 

コミュニケーション能力とは、納得解を導き出すために、みんなの力を借りる能力

 

 

ロジカルシンキング能力

ロジカルシンキングを直訳すると「論理的思考」になります。

論理的とはどういうことでしょうか?

「論理的」の対義語は「直感的」。
パッと答えが思いつくような、ひらめく感じです。

そうすると論理的というのはその逆で、思いつきじゃなく、確かな論拠をひとつずつ積み重ねながら、ゆっくりと答えに近づいていく。
直感ではない、理詰めで答えに迫っていくような態度のことを指します。

根拠の乏しい仮説は、みんなにとっての納得解になりません。
自分が導き出した仮説に、どれだけの客観的な根拠があるかということが重要になります。

そこでやるのが、自分自身を疑うこと。

「本当にこれでいいのか?」「もっといい方法があるんじゃないか?」「何か見落としていないか?」「直感や感情だけで動いていないか?」というふうに、自分を質問攻めにする。

こうして、自分も他者も納得できるようなロジックを、ひとつずつ積み上げていくんです。

 

ロジカルシンキング能力とは、自分を質問攻めにして、論拠を積み重ねていく能力

 

 

ロールプレイング能力

ロールプレイとは役割を演じるという意味の言葉。

実は今、社員教育の一環としてロールプレイを取り入れる企業が増えています。
特に多くなっているのが、接客業や営業職でのロールプレイ。

たとえばメガネ屋さんの場合、まずは従業員同士で「店員役」と「お客さん役」を決める。

お客さんが入店するところからスタートして、自然に声をかけるとか、さりげなく悩みをきくとか、お客さんにどうアプローチするのかを実際にやってみる。

そして会計を終えてお見送りするところまでの流れを、実際の接客と同じようにやってもらうわけです。

ここで大事なのは、お客さん役を演じることで、お客さんの気持ちをわかること。

自分がやっているように接客されたとき、お客さんはどう感じるのか?と考えるとき、売る側の立場に立っている限り、「予測」や「推測」の域を超えることはできません。

お客さんの立場に立って、その役を演じてみることにより、ようやく「実感」することができるんです。

私たちは、どうしても自分中心に世界を見て、判断してしまうところがあります。

当事者の気持ちを想像してみましょう。
その場にいる人、その場の雰囲気、そこに至るまでの流れ、いろんなものに目を向けて、数学的な”正解”とは違った、みんなの心が喜ぶような”納得解”を探すこと。

それがロールプレイの醍醐味です。

 

ロールプレイング能力とは、当事者の気持ちを想像し、心を実感する能力

 

 

プレゼンテーション能力

これまで、シミュレーション、コミュニケーション、ロジカルシンキング、ロールプレイについて学んできました。

観察して、仮説を立て、あらゆる角度から検証する作業。
これらはすべて、自分の納得解を導き出すためのものです。

そして最後のステップは、自分だけの納得解をみんなにとっての納得解にすること。

自分の納得解をおもしろく、説得力のあるものとして説明することがプレゼンテーションです。

面接試験の自己PRも、セールスマンの営業トークも、政治家の選挙演説も、すべてはプレゼン。
自分の納得解を紹介して、共感してもらい、信頼してもらって信任を得る行為なんです。

そこでプレゼンに欠かせない最後の要素がストーリー。

どれだけ良い仮説を立てることができても、そこに魅力的なストーリーがないと、人は話をきいてくれないものです。

「それって何?」と聞き手が驚くこと。
「詳しく聞きたい!」と前のめりになること。
「続きはどうなるんだろう?」とワクワクさせること。

ストーリーとはこうした構成や展開上の仕掛けのことを呼びます。

 

プレゼンテーション能力とは、他者に信頼と同意を得て、味方にする能力

 

 

勉強の先にあるもの

自分ひとりで机に向かって、問題を解いて、いい点数をもらって、それで周りから認められるのは学生までの話です。

だから企業は人を採用するとき、学歴やペーパーテストだけで判断しようとせず、どんなに手間をかけてでも面接をします。
その人の優秀さよりも、「この人と一緒に働きたいか」を優先するんです。

ひとりでガリガリと仕事に取り組んでも、大きな仕事にはつながりません。
人に相談すること、人に教えてあげること、人にわかってもらう努力をすること。
つまり、みんなと協力することによって仕事は動いていくし、社会人として自分も成長していきます。

アクティブラーニングとはまさに、こういったことを学習するあたらしい勉強です。

 

「どこかに自分にぴったりな職場がある」と考えるのは、従来のジグソーパズル型の発想。
最後の1ピースが見つからなければ、永遠に完成しません。

一方、成熟社会に必要なのはレゴブロック型の修正主義。
たとえ欠けているブロックがあったとしても、他のブロックを代用するなどして理想に近づけていけばいいのです。

人生に正解はなく、幸せのかたちにも正解はありません。
でも、自分の手で、自分自身の納得解をつくりあげることができるようになってもらいたい。
我が子にそう望むのであれば、親として読んでみる価値のある本だと思います。

興味を持っていただけた方は、ぜひ本書を手に取ってみてくださいね。

 

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