2020年11月18日放送のWEEKLY OCHIAI。
テーマは「家族とは何か?『家族のかたち』を考える」。
論点は、家族の形の多様化。
専業主婦と働く父親に子供が2人。
そんな高度成長期のモデルは過去のものとなりつつあります。
家族の形は今どのように変わっているのか?
家族に関する価値観をアップデートするために、何が必要なのか。という内容でした。
近代の家族の定義
家族とは何か?言葉にするのは非常に難しいことですが、本番組ではその機能が明確に定義されていました。
近代の家族が担ってきた9つの機能
近代の家族とは、基本的に次の9つの機能を負担する、婚姻関係を結んだ男女一対一と生まれた子どもの一世帯のこと。
これが前提となり、社会制度・社会的な規範が作られてきました。
- 性的機能…夫婦間の絆の醸成、子どもと父親とその養育責任の明確化
- 生殖機能…夫婦間で子孫を残す
- 扶養機能…育児や介護(乳幼児、障碍者、高齢者への衣食住の提供)
- 経済的機能…生産(労働力の提供)と消費を行う
- 保護機能…社会的弱者(女性、子ども、病者)を守る
- 教育的機能…子どもに教育を与え、社会に適応できる人間に育てる
- 宗教的機能…宗教や文化、倫理規範の継承
- 娯楽的機能…余暇をともに楽しむ
- ステータス付与機能…親の職業や地位、財産を子が引き継ぐ
しかし次の3つの変化により、現状とは大きなギャップが生まれています。
- 負担の変化
- 価値観の変化
- 外部化が可能になったことの変化
負担の変化
近代は高度経済成長期で、人口が増加していました。
だからこそ夫は外で働いて、主婦は家で子どもを育てるという前提で世帯は負担できました。
ところが今は共働きの核家族が増え、人口も減少しています。
こうした変化の中で、9つの機能維持するのは難しくなっています。
価値観の変化
LGBTQなど恋愛観は多様化していますし、出産と結婚はセットでなくてもいいという考え方も出てきているなど、9つの機能を負担するのは、男女一対一で構成された夫婦のみに限定しなくてもいいのではないか。と価値観が変化してきています。
※LGBTQとは以下の頭文字をとった総称
レズビアン(女性同性愛)
ゲイ(男性同性愛)
バイセクシュアル(両性愛)
トランスジェンダー(生まれたときに区分された性別に違和感がある)
クエスチョニング(自分の性別、好きになる相手の性別がわからない)
外部化が可能になったことの変化
例をあげると
- 代理母出産
- オンライン教育
- シェアサービス
- 家事代行
など、世帯の外に依頼できることが増えました。
同性婚の世界の状況
家族以前に、個人が多様化しているので家族が多様化するのは当然といえます。
しかし法は変化していないので、「ルール」と「リアル」に違いがありすぎているようです。
そのひとつとしてあげられているのが同性婚でした。
同性婚が認められていない日本
アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリア、南アフリカなど、欧米を中心に28の国・地域が同性婚を認めているとのことでした。
同性婚が認められていない日本は、先進国の中では完全にマイノリティであるということには驚きです。
同性婚が認められればハッピーな人が増える
同性婚が可能になることで、従来の異性との結婚に支障がでるのであれば問題ですが、「異性でもいいし同性でもいい」とすることに問題はないはず。
選択肢が増えるので、ハッピーな人が増えるだけなのかもしれません。
同性婚反対派の意見
反対派の一番の意見は、伝統的な家族観が壊れ社会が崩壊する可能性があるというもの。
また、少子化に拍車がかかるのではないかという懸念があるそうです。
番組内に反対派の方はいませんでしたので、深くは議論されませんでした。
上がり続ける生涯未婚率
<生涯未婚率>
男性 | 女性 | |
1960年 | 1.9% | 1.3% |
2015年 | 23.4% | 14.1% |
生涯未婚率は上がり続けています。
「今の40歳以下の人は4人に1人が生涯未婚。そして三組に一組は離婚する。つまり結婚して離婚しない人は2人に1人。」この言葉は衝撃的でした。
今までの家族の形、いわゆる”普通の家庭”というイメージは、変わらざるをえないのかもしれないと感じました。
家族の価値観をどうアップデートする?
本来家族はだれにとっても幸せな居場所であったり安らぎであったりする存在だったはずです。
しかし現状は、負担が大きくなりすぎて、家族というものがむしろ大変なものになってしまっている実態もあります。
そして必ずしも従来の婚姻関係・血縁関係という核を守っていかなくてもいいのではないか、という考え方も浸透してきています。
家族に求められているもの
必ずしも婚姻関係・血縁関係が必要ではない。
その主張には頷けます。
しかし、法律上の婚姻関係も血のつながりも必要としない、新しい家族の形を形成することは難しいようです。
たとえばシェアハウスの同居人が倒れたとき、自分が仕事を休んで看病するでしょうか?
若いうちはやはり実家に助けを求めるでしょう。
義理の兄弟が助けてくれといったときに、何百万も出してあげられるでしょうか。
やはりそれは難しいでしょう。
つまり人は、何かあったときに、自分を犠牲にしてでも助けてくれるだろうかというところの保証がほしいのです。
日常的なことはともかくとして、いざというときに何かしてくれる保証がほしい。
そう思っている限り、やはり信用できるのは婚姻関係・血縁関係の家族となる気持ちは根強いとのことでした。
落合陽一さんの「家族っぽい」こととは
落合さんにとって家族っぽいこととはどんなことですか?
そんな質問に落合さんが答える場面がありました。
「自分側の目的を作らない時間をお互いに過ごす。
子どもを見ているとき、自分の観察が主体になった活動として子どもと関わったりとか、子どもに何かをしたいという自分の欲求を叶えようと持って何かをしていると、ペット的でよくないなと思う。
でも極めて無目的な感じになったときに、非常に家族感を感じる。」
「子どもと一緒に、無目的に時間を過ごすこと」とのことでした。
全編を視聴した感想
「結婚して離婚しない人は2人に1人」そんな世の中になったときは、確かにお父さんとお母さんと子どもの世帯が、いわゆる”普通の家族”ではなくなるのかもしれません。
子どもにとってはどうなんだろう?と考えると、法律や血のつながりよりも、目の前の大人がどれだけ自分に真剣に関わってくれるか。
このことが最も重要だという真理はきっと変わらないはずです。
今後、婚姻関係を結ばずに子育てをするシングルマザーの方や、血縁関係のない子どもを育てる方が増えたとしても、子どもが大切にされる世の中であることは変わらないでほしいと思います。
自身はトランスジェンダーで、パートナーの方と三人で子育てされている杉山文野さん。
約100人の”拡張家族”と共同生活されている石山アンジュさん。
中央大学で家族社会学を専門に教授をされている山田正弘さん。
いろんな家族を知ることで、心が柔らかくなりました。
自分なりには、この番組を見て家族の価値観をアップデートできた気がします。
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